改葬元が寺院墓地である場合、墓地使用者であると同時に、その寺院の檀家であること がほとんどだと思います。 そこで、改葬に伴って全遺骨を持ち出す場合、原則として離檀をすることになります。 (改葬したからといって、菩提寺との縁を切らなければいけないということではありませ ん) 寺院には、檀家の離檀をとめる権利はありませんが、檀家制度がゆらいでいる昨今、引 止めにかかることもないとは言えません。 話をスムースに進めるためには、新しい墓地を購入する前の段階から、相談し菩提寺の 住職の理解を得たうえで、改葬の手続きに入るのが理想的です。 事後報告のかたちでは、話がこじれることも考えられ、後の手続きも円滑にいかないこ とにもなりかねません。お寺の協力は不可欠です。 なぜなら、たとえば、古いお墓など、中に何体の遺骨が納められ、その氏名は?納骨日 は?死亡時の住所は?…等必要な情報がお寺の過去帳に記されているばかりでなく、改 葬許可申請書に証明印をもらったり、または埋蔵証明書を発行してもらったりと…手続 き上も、お寺ぬきには進められないからです。 また、ほとんどのお寺が指定の石材業者をかかえており、お墓の事前調査やお骨の取り 出し等、どうしてもお寺の意向が反映されます。また、お寺に閉眼供養をしてもらった 後でなければ、石材業者は解体工事に着手しませんから、そういう意味でも、お寺が仕 切っていると言えるわけです。 「改葬の注意点」でも触れましたが、法的には、菩提寺には正当な理由なしに改葬を拒 否する権利はありません。しかし、場合によっては、何代もの長い間、日常の供養や法 要などで大変お世話になっていると思われますから、よく理解していただいた上、トラ ブルが起きないよう話を進めましょう。 お寺と喧嘩してしまったら… しかたありません…離壇申入れの際、行政書士に同行を求めるか、最悪の場合には、弁 護士に頼む方法も検討する必要があります。 |