離檀料について、ときどきご質問をいただくことがあります。お寺に改葬の話をしに いくと、離檀するならそれなりの金額を用意するように言われたり、金額を明示し て、払えないなら離檀は認めないとするケース、または、払えないなら遺骨は引き渡 すことはできないなど。 これでは、脅迫とかわりがないのではないかと思われるケースもあるようです。檀家 制度が崩壊しつつある昨今、これではそれに拍車をかけるだけではないかと思うのは 誰しもだと思います。檀家制度には、供養面でそれなりの利点もあるのですから、時 代にあわせるよう改革すればいい思うのですが。 さて、離檀料請求を法的にどのように考えるべきでしょうか?檀家でいるうちは、寺 の檀信徒となり、維持会費、お布施、その他寄付等の経済的援助を行い、寺の活動を 支える一定の義務(経費分担の義務)があります。当然、離檀により、そのような義 務は消滅し経費分担の必要はなくなります。離檀料の請求が正当化されるケースとし て考えられるのは、寺則や檀家契約(檀家になるときの合意文書)に条項がある場合 等ですが、そのようなケースは、まれだと思われます。ただ、慣習として長年お世話 になったお寺に対し、最後に10万〜15万円のお布施をお渡しすることもあるよう ですが、金額が決まったものでもなく、名のある寺院などはそれ以上の金額となるこ ともあるようです。つまり、離檀料は法律上、根拠のあるものではなく、契約・規約 等で合意した場合、または任意に支払う金銭と言えるでしょう。 憲法20条に「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」とある以上、離檀 料を支払わないからといって、離檀を認めないというのは信教の自由を侵害すること になります。 また、遺骨を引き渡さないというのも、遺骨の所有権が祭祀承継者つまりお墓の使用 権者にある以上、所有権を侵害する行為と言えます。住職などで勘違いしている方が 多いですが、遺骨や位牌の所有権はお寺にはありません。 |