墓埋法2条3項によれば、『「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋
蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。』となって
います。つまり、他の墳墓又は納骨堂に移さなければ、法律上の改葬には該当しない
ということです。そこで「散骨」ですが、他の墳墓や納骨堂に移すことを目的として
いないので、法律が想定する改葬にはあたりません。それでは、改葬許可はいらない
のかという問題ですが、お墓に関する本等では、対応がいろいろなようです。ここで
は、実務上から見た対応について書いてみたいと思います。ある本では、「改葬許可
を得た上で…」とし、また他の本では、「墓地管理者から許可を得てとし、改葬許可
証は不要」としております。どうして、こんなに書いてあることが違うのでしょう
か?それは、「法律が想定する改葬」ではないからです。つまり、法律が想定してい
ないため、役所の対応もマチマチなのが現状です。それでは実際上、どうしたら、い
いのかということになりますが、とにかく、まず墓地管理者から「埋蔵証明書(納骨
堂の場合は収蔵証明書)を発行してもらい、市区町村役場の担当者の判断に任せるべ
きだと考えます。
市区町村役場の対応として、許可証を交付する場合は、おそらく、「改葬の場所」
を空欄にするか、未定等にするかして、発行してくれるでしょうが…問題は交付して
くれない場合です。難しい法律の話になりますが、埋蔵(収蔵)は民法にある「寄託
による保管行為」と考えることができます。
その場合、寄託者はいつでもその返還を求めることができますので、墓地管理者から
「焼骨の引き渡しに関する書面」、「承諾書」等を発行してもらい、そのうえで持ち
出すのがよいでしょう。また、その他特殊なケースも考えられますので、まずは市区
町村役場に相談するべきだと思います。 |